歯周病を知って、歯周病を治しましょう!
症状から記事を探す
院長の中澤です。
今回「歯周病」について皆さんに知っていただき、「一緒に治していきたい!」ということでコラムを書きます。是非ご一読ください。
≪短期集中治療で完治を目指しましょう≫
本当によく「歯周病」という言葉を耳にしますが、いったい歯周病とはどんな疾患なのか?
昔は「歯槽膿漏」と呼ばれていて歯茎から膿がドロドロと排出された状態とされていましたが、現在はレントゲンなど各種検査をすることでもっと早期に発見出来るようになりました。「歯槽膿漏」という状態は歯周病の第二期にあたるものです。進行すると口臭や歯の揺れ(動揺)、歯が抜け落ちるなどがおこります。さらにこの様な重大な結果につながる疾患ですが自覚症状に乏しい為に、歯科医院での検査等で発見されることが殆どです。
そこで当院では、ベテラン歯科医師と知識豊富な衛生士が共同で完治を目指します。
エピデンスを熟知した歯科医師が治療計画を立てて、技術力の高い衛生士ともに表面麻酔や治療用レーザーを駆使して痛みを与えないSRP、適切な薬物療法や自宅での効果的なブラッシング(歯磨き)方法をお教えします。
≪歯周病の原因は何か?≫
歯周病には二つの原因的側面があります。
ひとつは歯周病菌による感染症で、もうひとつの側面は自己免疫疾患的な側面です。
お口の中には唾液1gに100000000個の細菌が常在菌としてあまり悪さをせずにそれぞれの住まい(フローラ・細菌叢)で共存してます。ブラッシングや生活習慣による口腔内環境の劣化が起こると、歯周病を引き起こす原因菌が増加し稼働を活発化してしまいます。
もうひとつの自己免疫疾患的な側面とは、歯周病菌で破壊された歯肉や歯周組織を非自己と誤認識して自ら攻撃破壊してしまう反応です。実はこの様な免疫機能のおかげで、人間の体には毎日多数の癌が発生してますが、殆ど全ての癌細胞をこの免疫機能で破壊排除してくれているのです。癌細胞をやっつけてしまうほどの攻撃力が歯周組織に向かうわけですから、あっという間にお口の中が深刻な状態になります。
では、このように歯を喪失してしまう様な怖い歯周病ですが、どの様に始まるのでしょうか?
実は歯肉炎という軽微な炎症から始まります。歯肉炎は歯肉に限局した炎症で発赤やブラッシング時の出血などを伴います。
この時点で歯科医院にてPMTCと呼ばれる歯面清掃をしっかり衛生士が行えば容易に完治させることが可能です。
≪歯周病を放置するとどうなる?≫(この章は少し難しく書いてありますので、飛ばしても大丈夫です!)
歯肉炎を放置しますと歯肉が腫れてきて、歯周ポケットを作ります。
歯ぐきが腫れて出来た歯周ポケットの内部は薄暗く酸素の届きにくい環境で、歯周病菌の代表格である嫌気性細菌にとって最適な場所となってしまいます。歯周ポケットには「仮性ポケット」と「真性ポケット」の2種類があり、歯肉炎によって歯ぐきの腫れが原因で出来るものを「仮性ポケット」と言います。歯周組織(歯槽骨など)の破壊が起きて出来るポケットが「真性ポケット」です。歯周病菌は口腔内常在菌ですから、初めから強い毒性を持っているわけでは無い事も現在の研究で明らかになっています。
常在菌が活発化しやすいポケット内では、歯周病の三大原因菌と言われているレッドコンプレックスが増殖していきます。
レッドコンプレックスにカテゴリーされる原因菌は
1.タネレラ・フォーサイセンシス
2.トレポネーマ・デンティコラ
3.ポルフィロモナス・ジンジバリス
です。これらは栄養共存の関係にあり一緒に存在することで破壊力を倍増させます。主な毒性はトリプトシン様酵素の分泌で、これは人の消化酵素に似た物質です。この物質で歯周組織を消化融解し自分達の栄養としてしまいます。近年の研究ではこれらの細菌が毛細血管から血管の中に侵入して動脈硬化の原因となったり免疫機能を破壊すると考えられています。
これらレッドコンプレックスをお口の中から排除し毒性のない常在菌に戻すことが出来るのが歯科医師と歯科衛生士です。
≪具体的にどのように治療するのか?≫
我々が歯周病の三大原因菌レッドコンプレックスに立ち向かう為の武器は、
1.手技による器械的排除
2.レーザーによる物理的排除
3.抗生物質(薬物)による化学的排除
です。
これらの武器を、エビデンスに従って効果的に使うことで、早期の治癒が期待できます。歯科医院でしっかりと治療した後、ご自宅でもセルフケアを行っていただき、3ヶ月、半年と経過を追っていきます。早期に始めて、短期集中治療で歯周病を治しましょう!
余談ですが、当院には学生バイトさんも多く働いてくれています。
今年もこの春1名の歯学部生が晴れて歯科医師国家試験に合格し、大学病院での臨床現場にデビューしました。(おめでとうございます!)
また現在も2名の歯学部生が日々学業に専念しながら、当院でアシスタントのアルバイトにきてくれています。これからも数多くの若手歯科医師や歯科医師の卵たちの手本になるよう研鑽していきます。
院長 中澤 慶